カルテ論考
- 21 時間前
- 読了時間: 3分
「診察室の外」にある時間を、どう支えるか。
医療は日々進化しています。診断技術は向上し、検査機器は高度化し、電子カルテやAIによる業務効率化も進んでいます。一方で、私たちが地域医療の現場で感じる課題があります。
それは、患者さんの人生のほとんどは、診察室の外で過ごされているということです。
本当に大切なのは診察と診察の間かもしれない
例えば、
独居高齢者
老老介護の家庭
慢性疾患を抱える方
受診をためらっている方
こうした方々は、受診した瞬間だけを見れば問題なく見えることがあります。
しかし実際には、
食事が取れていない
外出機会が減っている
家族との関係が変化している
服薬が継続できていない
といった変化が少しずつ積み重なっています。
そして多くの場合、
「どうしてここまで悪くなるまで気づけなかったのだろう」
という形で表面化します。
しかしこれは誰かの責任ではありません。
現在の医療制度の中で、医療機関が患者さんの24時間365日を見守ることは現実的に不可能だからです。
カルテが悪いわけではない
私たちは時々、「カルテの限界」という言葉を使います。
しかしそれはカルテを否定する意味ではありません。
カルテは本来、診療行為を記録し、共有し、医療の安全性を担保するための重要な仕組みです。
実際、日本の医療はカルテによって支えられてきました。
ただ一方で、カルテが扱うのは主に「診療が行われた瞬間」の情報です。
患者さんの生活や価値観、家族との関係、日々の変化までを継続的に蓄積する設計ではありません。
そこに善悪はありません。
役割が違うだけだと考えます。
私たちが向き合いたいのは「関係性」
PrimaryTouchが目指しているのは、患者さんと医療機関の関係を変えることです。
診察の質を高めることも大切ですが、
その前に
「その人を知ること」がもっと重要だと考えています。
どんな生活をしているのか
何を不安に感じているのか
誰が支えているのか
何を大切にしているのか
こうした情報は、診療情報であると同時に、人生の情報でもあります。
私たちはこれをナラティブデータと呼んでいます。
これからの医療は「記録」から「活用」へ
医療DXの議論では、AIによる要約電子カルテの効率化事務負担削減が注目されます。
もちろん重要です。
しかし私たちは、その先にある変化に注目しています。
それは、データを残すことから、データを活かすことへの変化です。
患者さんの変化を継続的に捉え、必要な時に介入し、地域全体で支える。
そうした医療の実現には、診察室だけではなく、診察と診察の間を支える仕組みが必要になります。
オンライン診療の本質は「継続性」にある
近年、オンライン診療が広がっています。私たちはオンライン診療そのものよりも、
その背景にある「継続的につながり続けること」に可能性を感じています。
患者さんが必要な時だけアクセスするのではなく、日々の変化を共有できる。家族も関われる。
医療機関も状況を把握できる。
そんな関係性の延長線上に、オンライン診療の価値があると考えています。
地域医療の未来へ
医療者はすでに十分頑張っています。
現場には熱意も知恵もあります。
それでも、高齢化、地域偏在、独居世帯の増加など、新しい課題が次々と生まれています。
だからこそ必要なのは、医療者の努力に頼ることではなく、新しい仕組みを作ることです。
PrimaryTouchは、医療を置き換えたいわけではありません。
カルテを置き換えたいわけでもありません。
私たちが目指しているのは、診察室の外にある時間を支えること。
そして、患者さんと医療機関の良い関係性を積み重ねること。
その先に、重症化予防や地域包括ケア、そしてより良い地域医療があると信じています。



