「訪問看護にAIが寄り添うとき」──現場に生まれる安心感
- 佳嗣 廣川
- 8月1日
- 読了時間: 2分
「訪問看護にAIが寄り添うとき」──現場に生まれる安心感訪問看護の現場に立つと、常に感じることがあります。それは「一人で全部を抱えてしまう不安」です。患者さんの表情、声のトーン、住まいの空気感。医療者の目と耳はフル回転ですが、時間は限られています。そして、訪問が終わると次の利用者へ。「あの人、あのあと大丈夫かな」と気になりながらも、もう戻れない。看護師は「寄り添いたい」という思いと「追いつけない現実」のはざまで揺れています。
記録に追われる日常訪問が終われば、記録業務が待っています。経過を丁寧に残したい。でも、時間がない。結果として「最低限の記録」にとどまり、後で見返すと大事なニュアンスが抜け落ちていることもあります。これは、看護師自身の負担になるだけでなく、他のスタッフや医師への共有の質も下げてしまいます。つまり、患者のケアにも影響してしまうのです。
PrimaryTouchができることここにAIエージェントが加わると、状況は大きく変わります。
訪問前
前日の生活記録をAIが整理し、「ここを確認するとよい」というポイントを提示。 →「今日はこの声掛けをしてみよう」と事前に心構えができます。
訪問中
会話を録音し、AIが要点を自動要約。 → 記録のために“聞き逃す”ことが減り、目の前の人に集中できます。
訪問後
AIがまとめた経過を元に、必要最小限の加筆で報告完了。 → 記録時間が短縮され、次の訪問へ余裕を持って向かえます。
看護師の声導入初期に現場で聞かれた感想には、こんなものがあります。「今日は“その人”と会話できた感覚が強い」「報告が簡単になった分、帰宅後に家族と過ごす時間が増えた」「チームへの情報共有がスムーズになり、“自分だけが知っている”という負担感が減った」つまり、AIは仕事を奪うのではなく、「人が人に向き合える時間」を取り戻してくれるのです。
支える人も「支えられる」関係へ訪問看護は、患者だけでなく家族も支える仕事です。そして看護師自身もまた、支えられるべき存在です。PrimaryTouchの仕組みは、患者・家族・看護師の三者が「共有できる安心」を持つための橋渡し。「やっぱり、この人を支えられてよかった」と思える瞬間を増やしていきます。
訪問看護の未来は、「一人で抱え込まない」働き方にあります。AIは、冷たい機械ではなく、そっと後ろから支えてくれる“仲間”です。
次回は、この考え方をさらに広げ、「地域包括ケアの中でCCRMが果たす役割」について考えてみます。