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診察の録音と「おまとめ」共有が、医療の“質”と“信頼”を変える

  • 執筆者の写真: 佳嗣 廣川
    佳嗣 廣川
  • 6月1日
  • 読了時間: 4分

「今日どんな話されたの?」

「・・・なんだたっけ。難しくて忘れた」

「怒」

診察を終え、帰宅したのち家族にこういうやり取りがあると今までインタビューした人皆さんに心当たりがありました。


限られた時間のなかで交わされた会話、医師からの説明、生活指導──すべてを記憶して持ち帰るのは、患者にとって簡単なことではありません。


現実には、多くの患者さんが診察内容の一部を誤解したり、忘れてしまったりして、結果的に治療が非効率になったり、再診や問い合わせが必要になったりしています。


「診察の録音」をして業務効率化しようというソリューションは増えてきつつありますが、それにとどまらず、折角データ化された情報を患者さんにお渡しする。今日の診察の「おまとめ」が期待されています。特に、PrimaryTouchが提供する診察支援AIエージェントは、医療現場と患者さんに新しい医療サービスとして提案しています。




■ なぜ診察の内容は“伝わらない”のか?



診察時間は平均して7~10分程度。その中で医師は症状の聴取、所見の確認、診断の提示、治療方針の説明、服薬指導、生活上の注意など、多くの情報を伝える必要があります。


一方で患者側は、不安や緊張、体調不良の中で説明を聞いているため、注意が散漫になったり、記憶が定着しづらかったりするのが現実です。とくに高齢者や認知機能が低下した患者にとっては、重要なポイントを正しく理解し、行動に移すのが難しいことも。


その結果、「話を聞いていない」「説明が足りない」「何をすればよいか分からない」といった“すれ違い”が起き、医療の質や患者満足度を下げてしまうのです。




■ 録音+要約=医療コミュニケーションのアップデート



PrimaryTouchでは、診察中の会話をAIが録音し、その内容を要約してサマリーとして患者に届ける診察支援機能を提供しています。


この仕組みによって、次のような価値が生まれます。


  • 患者にとってのメリット

     ・診察後に内容を何度でも確認できる

     ・ご家族や介護者と共有しやすくなる

     ・安心感と納得感が高まる

  • 医療機関にとってのメリット

     ・再説明や問い合わせ対応の削減

     ・診療時間の効率化

     ・医療ミスや認識違いの防止



つまり、録音と要約によって「言った/言わない」のリスクを減らしながら、医療者と患者の信頼関係をより強固にするのです。




■ 実際の活用シーン──“共有される診察”が変える風景



たとえば、以下のようなシチュエーションが現実に起こっています。



ケース1:遠方に暮らす娘さんへの共有



高齢の母親が受診した後、「今日のお医者さんとの話、どうだった?」と娘さんが聞いても、母親はうまく説明できない。

PrimaryTouchを活用すれば、診察の要点を記したサマリーが自動で作成され、娘さんにも共有。服薬指導や生活上の注意点も簡潔にまとめられており、二人三脚で療養を進める基盤ができる。



ケース2:患者自身の振り返りツールとして



糖尿病で継続的な通院が必要な50代男性。診察時にはうなずいていたが、帰宅後には「何に気をつけるんだっけ?」と曖昧に。

サマリーで確認できることで、自分自身の体調管理に責任を持つ意識も芽生え、生活習慣の改善にもつながる。




■ 診察録音は医師の時間も守る



録音+サマリーの提供は、患者の安心を支えるだけではありません。医師の負担軽減という点でも、大きな意味を持ちます。


たとえば、患者さんの“聞き逃し”による再説明や、家族からの電話問い合わせに対応する時間が減ることで、医師は本来の診療により集中できます。また、カルテ入力の補助として録音内容を活用することで、診療後の記録業務も効率化されます。


加えて、医療訴訟やトラブルを未然に防ぐリスクマネジメントとしても、診察記録が残ることは価値があります。




■ 医療の質とは、“伝わったかどうか”で決まる



どれだけ優れた診断や治療を行っても、それが患者に正確に伝わっていなければ、医療の効果は半減してしまいます。つまり、「伝える医療」から「伝わる医療」へとアップデートすることが、これからの医療に求められているのです。


PrimaryTouchの診察支援エージェントは、AIの力でそのギャップを埋め、より良い医療体験の実現を支えます。それは、効率化のためだけでなく、「この先生に診てもらって良かった」と思ってもらえるような、心に残る医療コミュニケーションをつくるための一歩でもあるのです。




■ まとめ:録音とサマリーは、医療における“第二のカルテ”



カルテは医師のための記録。

サマリーは患者のための記録。


このふたつが並走することで、医療の質は確実に変わっていきます。情報が正しく伝わり、安心と理解が得られる医療体験。これこそが、テクノロジーと人のぬくもりが融合した“未来の診察スタイル”です。


PrimaryTouchは、診察という限られた時間の価値を最大化し、医療者と患者のあいだに新しい信頼の橋を架けていきます。

 
 
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