top of page

医療の“あり方”を変え、地域から選ばれる医療機関へ

  • 執筆者の写真: 佳嗣 廣川
    佳嗣 廣川
  • 6月3日
  • 読了時間: 5分

更新日:6月12日

「業務がまわらない」

「スタッフの負担が限界に近い」

「効率化しなければ続かない」


こうした声は、今や多くの地域医療機関から聞かれるようになりました。

特に少人数で回している診療所や在宅医療の現場では、「一人ひとりの力」に依存した体制が続き、疲弊と人手不足が慢性化しています。


業務効率化は大切です。

それと同時に、“選ばれる医療機関”になるための新しい価値づくりが必要と捉えたいと思います。


これからの医療に必要なのは、「効率よく診る」ことではなく、医療のあり方そのものを問い直す姿勢です。

そして、地域の人々の暮らしに本質的に寄り添い、信頼を築く新しい仕組みこそが、未来の医療経営を支える基盤になると考えます。




■ 効率化のその先へ──「何のためにこの業務があるのか」を再定義する



電子カルテの導入、予約システムの整備、チャットボットによる問い合わせ対応──

多くの医療機関が“業務の効率化”を目的にテクノロジー導入を進めてきました。


けれど、効率化の結果として得られた時間や労力は、本当に「患者との関係性の深化」につながっているでしょうか?

「回すこと」が目的化してしまっていないでしょうか?


大切なのは、業務効率の先に“医療の意味”を取り戻すことです。


たとえば、PrimaryTouchが提供するAIエージェントは、単なる業務支援ツールではありません。

患者さんのちょっとした不安、体調の変化、日常の中の違和感を拾い上げ、医療者に届けることで、「診る」以前の接点=“暮らしと医療をつなぐ橋”をつくる存在です。


このように、「業務を早く終わらせるため」ではなく、“本来やりたかった医療”に立ち返るためのテクノロジーこそ、これからの医療機関に必要なのです。




■ 経営・働き方にもつながる「医療の本質的な再設計」



業務効率化に取り組むだけでは、離職は止まりません。

なぜなら、スタッフが離れていく理由の多くは、「忙しすぎるから」ではなく、「本来やりたいことができていないから」だからです。


例えば、


  • 患者ともっと話がしたいのに、記録や対応に追われて時間が取れない

  • 自分のケアが十分だったのか自信が持てない

  • 仕事が“こなすだけ”の作業になってしまっている



こうしたモヤモヤが蓄積し、職場を離れる決断へとつながっていきます。


逆に、“想いが活かされる現場”には人が集まります。

これは経営の視点からも重要な示唆です。


PrimaryTouchのような非同期・オンラインのケアモデルを導入すれば、患者の情報が事前に整理され、スタッフは余裕をもって関われるようになります。また、診察や訪問内容の記録も自動要約されるため、報告に追われず、看護や診療に集中できる環境が整います。


このような取り組みは、業務効率化にとどまらず、スタッフの働き方そのものを変え、職場への愛着や誇りを育てる力を持っています。




■ 地域から「選ばれる」医療機関とは何か



医療の世界でも、「選ばれる」という感覚が重要になってきています。


以前は、「近いから」「昔から通っているから」という理由で自然と患者が集まっていました。

しかし今は違います。


  • 自分の話をちゃんと聴いてくれるか

  • 不安なときに相談できる場所か

  • 高齢の家族にも安心して任せられるか



こうした“信頼”や“つながり”が、医療機関の選ばれる理由になってきています。


そしてその信頼は、「診察室の中」だけでつくられるものではありません。

むしろ、診察室の外──

日常の中で医療が“そっと寄り添ってくれる”とき、地域の人はその医療機関に愛着を持ち、頼りにするようになるのです。


PrimaryTouchのような仕組みは、まさにこの「外にある医療」の実現を可能にします。


  • ふとした不安を記録できるアプリ

  • 高齢の親の体調を見守れるダッシュボード

  • 通院の合間に医療とつながる安心感



これらが積み重なることで、地域住民の心に「この医院は、ちゃんと見てくれている」「ここなら、安心して任せられる」という印象が生まれます。





■ 医療の“質”を、もう一度問い直そう──プライマリケアの原点から、CCRMへ



「効率よく診る」だけでは、患者さんの本当の安心は得られません。

「丁寧に話す」だけでは、スタッフの働き方は守れません。


今必要なのは、“どんな医療を提供したいのか”という原点に戻ることです。


私たちが向き合うべき問いは、単なる生産性ではなく、医療の“質”の再定義です。

そして、その質の基盤にあるのが、プライマリ・ケアの5原則です。


  • 近接性(Accessibility):誰もが、いつでも医療につながれること

  • 協調性(Coordination):多職種が連携して一人の患者を支えること

  • 包括性(Comprehensiveness):身体・心・生活をまるごと見る視点

  • 継続性(Continuity):一時的でなく、長く寄り添い続ける関係性

  • 責任性(Accountability):地域における医療の在り方に責任を持つこと



PrimaryTouchは、この5原則を現代の地域医療の文脈に再構築し、テクノロジーとナラティブを組み合わせた新たなモデルとして、**Community Care Relationship Management(CCRM)**を提唱しています。


CCRMとは、単なる患者管理でも、業務支援でもありません。

医療者と患者、家族、地域が、持続的な関係性のなかで信頼と気づきを循環させる仕組みです。


非同期のやりとりを通じて“暮らし”とつながり、

感情や行動の変化を拾い、

必要なタイミングで介入し、

記録し、振り返り、共有する。


その一つひとつが、「選ばれる医療機関」への道をつくっていきます。



医療のあり方が変われば、働き方が変わる。

働き方が変われば、経営が変わる。

経営が変われば、地域から選ばれる医療機関へと進化できる。


その根底にあるのは、人の関係性を豊かにする医療です。

PrimaryTouchは、テクノロジーの力とプライマリ・ケアの思想を掛け合わせ、

地域の暮らしに本当に必要とされる“医療の未来像”を、共に描いていきます。

 
 
bottom of page